予報用語で知る風や雨の強さ

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気象の基礎知識
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 以下はある日、ある気象台が発表した天気予報です。

 (雨について)「曇りのち雨 所により やや強くふる」

 (風について)「北の風やや強く 海上では 北の風 強く」

 「やや強く降る雨」とはどんな雨でしょうか。

 「(陸上の)やや強い風」より「(海上の)強い風」のほうが強いのはわかりますが、どのくらいの強さなのでしょう。

 天気予報に出てくる風の強さ、雨の強さを表す独特の予報の用語について、ご紹介します。

風の強さを表す予報用語

風の強さは秒速で表す

 「風速5mの風」といいますが、正確には秒速5mの風のことを言います。

 以下、秒速5mを5m/s、時速20kmを20km/hと表します。

 秒速といってもピンとこないと思いますので、×3600して時速に直してみましょう。

 すると、5m/sの風は、5×3600=18000m/時、即ち18km/hで、普通の人が自転車で少し速めに走っているぐらいの速度です。

 台風の強風域は、風速15m/s以上、暴風域は25m/s以上(いずれも10分間平均風速)ですので、それぞれ時速では54km/h、90km/hとなります。

 台風の強風域では、国道の自動車のスピードに匹敵する風、暴風域では高速道路の自動車に匹敵する風ということになります

 台風の破壊力がいかにすごいかということがよくわかる数値ですね。

風の強さを表す予報用語

 風の強さは秒速で表しますが、5m/sの風といっても普通の人にはよくわかりませんね。

 そこで、気象庁では風の強さをわかりやすく表現するために、以下のような言葉を使っています。

風速(m/s)予報等での表現おおよその最大瞬間風速(m/s)
0 ~ 10(特になし)
10 ~ 15やや強い風20 以下
15 ~ 20強い風30 以下
20 ~ 30非常に強い風45 以下
30 以上猛烈な風※45 以上
風速と風の強さの予報用語(※但し、最大瞬間風速が50m/sを超える場合には、最大風速の値にかかわらず「猛烈な風」と呼ぶ)

 気象庁には悪いのですが、これでもあまりよくわかりませんね。

 私なりの目安を作ってみました(元ネタは気象庁作成のリーフレット「雨と風」)

風の強さの表現人への影響「もの」への影響
やや強い風植木や電線が揺れる
高速道路で横風に流される感覚を受ける
強い風歩きにくい電線が鳴る
雨戸やシャッターがゆれる
非常に強い風つかまらないと立っていられない木の枝が折れ、根の張っていない木が倒れる
弱いビニールハウスが広範囲に破れる
猛烈な風外出は非常に危険固定の不足している金属屋根がめくれる
樹木や電柱が倒れる
走行中のトラックが横転する
風の強さによる人とものへの影響

 「非常に強い風」以上が吹けば、何らかの被害が出る可能性がありそうだということがわかります。

風の強さと被害の状況(2018年台風21号)

 関西、特に大阪府で大きな被害を出した2018年台風21号では、タンカーが連絡橋に激突した関西空港で最大風速46.5m/sの猛烈な風、トラックの横転や仮設足場が倒壊した大阪市内で最大風速27.3m/sの非常に強い風でした。

 農業関係であれば、非常に強い風の時点で露地野菜や果樹には被害が出、猛烈な風では対策を施した強いビニールハウスでも被害を受ける可能性があります。

 実際、大阪府では、特に風の強かった泉州地域を中心に、ビニールハウスの倒壊、破損が相次ぎ、過去最大級の農業災害となりました。

 このように、非常に強い風(20m/s以上)は、農業被害は必須といってもいいので、台風の暴風域(25m/s以上)に入る可能性のある時は、万全な対策が必要といえるでしょう。

 この台風に関し、気象庁のまとめた資料はこちらから。

雨の強さを表す予報用語

雨の強さは時間当たりのミリ(mm)で表す

 一般に液体を量るには容積の単位(リットル、立方メートル)を用います。

 しかし、雨量では水のたまった深さであるミリ(mm)を用いるのが普通です。

 その理由は、雨を容積で量ると、入れ物の大きさ(底面積)によって変わりますが、深さであれば、入れ物の大きさで変わることがないからです。

 プールでも、牛乳瓶でも10mmの雨は深さ1cmなので、雨の強さを量るには、一番適した単位なのです。

 雨の量(雨量)をミリで表すことが理解できたとして、強さを表すのはどうすればいいでしょうか。

 例えば、トータルで50mmの雨が降ったとします。

 これが24時間でまんべんなく降るのと、1時間で降るのでは、当然後者のほうが強い雨になりますよね。

 こうしたことから、雨の強さを表すには、単位時間当たりの雨量、ふつうは1時間当たり雨量(mm/h)を用いるのです。

雨の強さを表す予報用語

 気象庁では、雨の強さについても、わかりやすい表現を用いています。

1時間雨量(mm/h)予報等での表現降り方の目安人、ものへの影響
0 ~ 10(とくになし)
10 ~ 20やや強い雨ザーザーとふる地面からの跳ね返りで足元が濡れる
20 ~ 30強い雨どしゃ降りワイパーを強くしても見づらい
30 ~ 50激しい雨バケツをひっくり返したような雨道路が川のようになる
50 ~ 80非常に激しい雨滝のように降る傘は全く役に立たなくなる
80以上猛烈な雨息苦しく圧迫感があるあたり一面が白っぽくなり視界が悪くなる
時間雨量と予報における表現、人やものへの影響

 ただ、積乱雲による短時間強雨などでは、バケツをひっくり返したように降ることもありますが、比較的短時間で終わり、時間雨量はそれほどでもないということもあります。

 そのような場合でも、一時的な内水はんらん(雨水が排水できず浸水する)などは起こるので、注意が必要です。

雨の強さと被害の状況(2022年台風15号)

 この台風は、9月23日に台風となって、24時間後の24日には温帯低気圧となった短命の台風ですが、線状降水帯が発生し、静岡県に大きな被害をもたらしました。

 送電線の鉄塔が土砂崩れで倒れ、静岡県内で最大12万戸が停電したほか、静岡市清水区では水道が取水できなくなって、約2週間にわたり断水となったのです。

 気象庁の資料によれば、

顕著な大雨に関する情報発表(線状降水帯の発生)

   2回 23日22時49分、24日5時9分

記録的短時間大雨情報(100mm/h前後の雨を解析)

  16回 23日21時台から24日2時台に集中

 この期間の静岡県のアメダスポイントの1時間雨量の最大値は、静岡空港の110mm/h、トップテンはいずれも80mm/hを超え、「猛烈な雨」となっています。

 しかしながら、降り始めからの台風トータルの雨で見れば、400mmをやや超える程度で、静岡市ではほぼ8時間でこれだけの雨が降るという集中豪雨でした。

 静岡アメダスポイントは、20時に41.5mm/hを記録して以降、毎正時ごとに55.5、76.0、12.5、15.5、107.0、42.5となっており、7時間で、「猛烈」が1回、「非常に激しい」が2回、「激しい」が2回、「やや強い」が2回となっています。

 一般に、災害が起こる目安の雨量として、1時間50mm、3時間100mm、24時間で200mmということがいわれます。

 こうしたことからも、「激しい雨」以上が予想されるときは、災害の備えを強めるべきです。

 この台風に関して気象庁がまとめた資料はこちらから。

まとめ

 天気予報では独特の言い回しで風や雨の強さを表します。

 どのくらいの強さの風か、雨かを知っておくことで、天気予報をうまく防災に活用できます。

 是非、この記事をご活用ください。

 強風や突風を天気予報から知る方法はこちら

 ハウスの強風対策はこちらを参考にしてください。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

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