お天気入門(10月から12月)

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お天気入門
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 自治体やJAなどの職員さんが、農家さんと話をするときに、よくお天気の話題になることがあります。

 でも、「いいお天気ですね」とか、「雨が降りそうですね」以上の話になると、なかなか農家について行けません。

 少しでもこうした人たちに気象のことを知ってほしいし、農家さんに「よく知ってるな」と思われてほしい。

 そうした願いから、この一連の記事を作成しました。

 1年かけてある農業団体の広報誌に連載した原稿を元に、3ヶ月ずつにまとめました。

 10月~12月は雨や霧など、水蒸気が起こす様々な現象に関する記事です。

 ブログの他の記事と重複する内容もありますが、これだけを読んでも一通りの気象知識が身につくと思います。

 ぜひ読んでください。

強い雨、激しい雨とは(用語でわかる雨の強さ)

  天気予報やニュースで「大阪府では曇りのち雨、所により強く降る」とか、「〇〇市では一時間で四三ミリの激しい雨が降った」など、雨の強さの説明があります。

 でも、強い雨とはどのくらい? 激しい雨だとどんな注意が必要? 

 皆さん考えたことありますか。

雨の強さは時間当たりのミリで表す

 一般に液体を量るときは容積の単位(リットルなど)を使いますが、雨の時は水の深さ(ミリ)を用います。

 それは容器の大きさが変わっても、水の深さは変わらないからで、10ミリの雨が降れば、牛乳瓶でも競泳プールでも同じ深さ(1センチ)になります。

 でも、同じ50ミリの雨でも、1時間で降る場合と、24時間で降る場合では、強さは全然違います。

 そこで、雨の強さを表すときは1時間当たりのミリ(mm/h)で表し、総雨量などの時は単なるミリ(mm)で表すことになっています。

雨の強さは6段階

 1時間で何ミリの雨といっても、どれほどの強さか、わかりにくいですよね。

 そこで気象庁では、雨を6段階に分けて強さを表しています

 弱いほうから順に、(ただの)雨、やや強い雨、強い雨、激しい雨、非常に激しい雨、猛烈な雨の6段階です。

 さらに、それぞれの雨の強さが実感からわかるように、例えば「やや強い雨」は、「ザーザー降り、地面の跳ね返りで足元が濡れるような雨」というような説明がなされています。

 表にしましたので、是非ご覧ください。

1時間あたり雨量(mm/h)雨の呼び方特徴・目安
0.5~10(なし)特になし
10~20やや強い雨ザーザーと降る
地面からの跳ね返りで足下がぬれる
20~30強い雨どしゃ降り
ワイパーを強くしても見づらい
30~50激しい雨バケツをひっくり返したように降る
道路が川のようになる
50~80非常に激しい雨滝のように降る。ゴーゴーと降る。
傘が全く役に立たなくなる
80以上猛烈な雨息苦しいような圧迫感がある
あたり一面白っぽくなり視界が悪くなる
雨量と雨の強さの呼び方(気象庁資料をもとに作成)

「激しい雨」以上なら要注意

 豪雨被害が出る目安は、1時間50mm以上または24時間200mm以上といわれます。

 「非常に激しい雨」以上が1時間続いたり、「激しい雨」が数時間続けばほぼこの水準となりますので、浸水や土砂災害の危険性があります。

 是非皆さんも、「雨の強さ」に注目してください。

霧(きり)、露(つゆ)、霜(しも)

 雨かんむりの漢字は水に関わる気象現象を示したものが多く、気温などの変化によって、水蒸気が水や氷に変化することで起こります。

 雨かんむりの漢字で表される、秋から冬によくみられる気象現象を解説します。

空気にとける水蒸気の量は低温になると減る

 水蒸気は透明で、空気中に普通に存在しています。

 ある体積の空気中に含まれる水蒸気の最大量(飽和水蒸気量)は、高温ほど多く、低温ほど少なくなります。

 そのため、水蒸気の多い(湿った)空気では、温度が下がると水蒸気がとけきれなくなって、水に変わってしまいます。

 アイスコーヒーのグラスの表面に水滴がつくのは、このためです。

霧と雲とは同じもの

 霧とは、水蒸気が水滴に変わって空気中に浮遊している状態です。

 上空にできる雲と同じものです。

 大阪などの平野部でよく現れる霧は、昼に雨が降るなどして空気が湿った状態で、夜に高気圧に覆われ、晴れて気温が下がり(放射冷却)、水蒸気が水滴となるものです(放射霧)。

 こうした霧は、気温が上がると水滴が水蒸気に戻り、消えてしまうのが普通です。

農作物に霜は要注意

 放射冷却による気温の低下が著しいときに、地表近くの気温が人の顔の高さの気温より2℃以上、低くなることがあります。

 この時、地表近くで、水蒸気が植物の表面などに付着し水滴となって現れます。

 これがです。

 さらに温度が下がると、露だったものが凍ったり、直接水蒸気が氷になって葉に付着したりします。

 これが霜です。

 新芽の時期に霜が降りると、農作物に大きな被害が出ます。

 この時期は、霜の恐れのある前日の午前中に、気象台から「霜注意報」が出されるので、農家の皆さんは情報収集に努めてください。

霜の降りやすい気圧配置(2023年3月5日の天気図 気象庁HPより)
霜の降りやすい気圧配置(2023年3月5日 気象庁HPより)

霙(みぞれ)、霰(あられ)、雹(ひょう)

 雨かんむりの漢字のお話、次は、空から降る雨や雪以外の降水事象の解説です。

 漢字が難しいので、今回は表題以外はひらがなゴシックで記載します。

 みぞれは冬に特有の現象ですが、あられひょうは春や秋でも起こる現象です。

上空の雲の中では真夏でも雪が降っている

 雲は、空気中の水蒸気が上空の低温によって、水や氷の粒になって空気中を漂っているものです。

 雲にはいろいろな種類がありますが、雨や雪を降らせる雲は、主に乱層雲、積雲、積乱雲です。

 このうち、積雲と積乱雲は高度が5~15kmに及ぶ、背の高い雲です。

 上空5km以上では真夏でも気温が氷点下になることが多く、雲の粒は氷になっており、この氷がぶつかり集まって、大きな粒(雪)となって落下し始めます。

 これが雪や雨の始まりです。

寒くなると雪と雨が同時に降ることがある(みぞれ)

 気温が高い季節なら、こうした雪は融けて雨に変わって地上に降りますが、寒くなると融けずに雪のままで地上に落ちてきます。

 地表付近の気温が0~3℃前後だと、雪の一部は融けて雨となり、一部は雪のまま降ってきます。

 みぞれとは、このような雨と雪が同時に降っている状態のことを表す言葉で、みぞれの粒があるわけではありません。

あられとひょうは積乱雲から降る

 一方、あられひょうは、発達した巨大な積乱雲から降ってきます。

 上空15km前後の積乱雲の最頂部から、氷の粒が落下してくる際に、巨大な塊となり、激しい下向きの風を伴って、氷の塊のまま地表に到達します。

 こうした氷の塊のうち、直径5mm未満のものをあられ、5mm以上をひょうといいます。

 ひょうには、パチンコ玉くらいからゴルフボールくらいの大きなものもあり、農作物やビニールハウスに穴をあけるなど、農業の大敵です。

 ひょうは、雷や突風を伴うことが多く、危険な気象現象の一つです。

まとめ

 お天気入門、10月から12月はいかがでしたか。

 より詳しく知りたい方は、このブログ内にくわしい記事があるので、そちらもご覧ください。 

 雨や風の強さについてはこちらをご覧ください。

 ひょうやあられを降らせる積乱雲はこちらもご覧ください。

 最後までお読みくださりありがとうございました。

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